2011年7月12日火曜日

ソニー、自動車用リチウムイオン電池参入 10年代半ばメド

 ソニーは12日、2010年代半ばに電気自動車向けのリチウムイオン電池事業に参入すると発表した。現在はパソコンや携帯電話向けが中心だが、需要拡大が見込める自動車向けでも受注を目指す。同電池はスマートフォン(高機能携帯電話)などでも需要が旺盛で、年200億円前後の投資を続けて増産を急ぐ。

 石塚茂樹業務執行役員は同日の記者会見で、「ソニーの電池は長寿命で交換の頻度が少なく済むといった強みがあり、電気自動車にも向いている。2010年代半ばをメドに参入したい」と述べた。ハイブリッド車向けの受注も目指す。自動車向け電池では子会社のソニーエナジー・デバイス(福島県郡山市)が試作品を開発し、国内外の複数の自動車メーカーと交渉を始めた。

 同日、ソニーエナジー・デバイス本宮事業所(福島県本宮市)で電池の主要部品である電極の新工場を完成した。投資額は約260億円で12月までに出荷を始める。東日本大震災で被災した多賀城事業所(宮城県多賀城市)の電極の生産は本宮事業所に集約。電池の生産能力を月6900万個と今年4月に比べて6%増やす。

 繰り返し充電して使えるリチウムイオン電池はスマートフォンやタブレット端末のほか、産業用施設や家庭の蓄電システム向けにも需要が拡大している。ソニーは自社製品用だけでなく他社への外販も拡大する。

 ソニーは09年11月に今後数年で電池事業に1000億円を投資する計画を公表。この計画に沿って年200億円規模と高水準の設備投資を続ける。自動車向けの受注が決まればさらに投資を上積みしたり、海外に工場を新設したりすることも検討する。

 リチウムイオン電池市場では10年に世界シェア1位だった三洋電機を完全子会社化したパナソニックが事業を拡大。サムスン電子やLG電子など韓国勢も強化している。ソニーは積極投資や自動車など新分野への進出をテコにシェア拡大を目指す。

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